コラム

HOME > コラム

コラム

欧州の賢人に聞く:中国企業にとってのチャンスと課題

EUは中国の最大の輸出入先となっている。関係性はより深まっているものの、取引が増加するにつれ、双方の理解不足によるすれ違いが絶えない。

長江商学院は中国人のグローバル化を促すとともに、世界の中国ビジネス理解を促進する役割を担っている。そして、長江商学院ヨーロッパ顧問委員会のメンバーが北京を訪れた際に、委員4名と長江商学院を代表する滕教授による公開パネルを開催した。今回はその一部を抜粋してご紹介する。



左より滕教授、Blank卿、Aldington卿、Bouee氏、Richards氏

パネラー:
Sir Victor Blank            前ロイズ銀行会長、現長江商学院ヨーロッパ顧問委員会委員長
Lord Charles Aldington  前ドイツ銀行ロンドン支店会長
Charles-Edouard Bouee   ローランド・ベルガーCEO
James Richards      元外交官、前ロールスロイス中国担当取締役

モデレーター
滕斌聖(トン・ビンシォン)       長江商学院経営戦略マネジメント論准教授
________________________________________

滕:株式市場が経済活性化の切り札となりうるとお考えですか?

Blank卿:西洋と中国の経済運営政策の違いについてのご質問ということですか?呼び水的に行う"財政投融資"が西側で登用されることは稀です。例外としては2008年のリーマンショックが挙げられます。

Aldington卿:株式市場が市民の投資先として適切だとすれば、貯蓄の一部が株式投資に回ることとなるでしょう。

滕:中国経済は世界経済に影響があるとお考えですか?

Aldington卿:中国の株式市場へのアクセスは制限されているため、影響は限定的でしょう。しかし、現在の株式市場が、調整というよりも実態経済の弱さを反映しているものだとしたら、別問題として考える必要があります。 

Richards氏:鄧小平後の中国の発展は過去30年において最もインパクトがありました。それはイギリス産業革命がより大規模かつ急速に進んだようなもので、その変化の大きさゆえに、世界企業やリーダー達を魅了してきたのです。しかし、一方では環境破壊、南シナ海での緊張など課題ももたらしました。

"一帯一路"構想は、世界では中国国内ほど注目されてはいませんが、唐の中央アジアへの進出、あるいは明の大遠征を彷彿とさせます。交易が促進されるので中国にも世界にもメリットがあると考えます。アメリカはAIIBをアメリカに対抗する手段と見ていましたが、多くの国が必要性とメリットがあると考えたから参加を決めたのだと思います。

滕:周辺諸国や外資系企業は"一帯一路"からどのようなメリットを享受できるでしょうか?

Bouee氏:国内から国外へ市場を拡張するための優れた戦略だと思います。そう考えるからこそ多くの国がAIIBに参加した。様々なプロジェクトがありますから、中国および周辺諸国にとって多くのビジネスチャンスがもたらされることでしょう。

Blank卿:利益を得るには様々なやり方があると認識することが大事だと思います。単に不動産を買うよりも、人々やそのスキルが大きく影響するクリエイティブな産業の方により大きなチャンスがあると思います。

滕:仰る通りです。長江商学院OBがヨーロッパでワイナリーを買収している事例についてどうお考えですか?

Bouee:単にワイナリーを買収して経営するのではなく、醸造のノウハウを取得し本国に持ち帰るという手法は有益だと思います。

滕:投資グループ、復星の戦略をどうお考えですか?

Bouee:企業買収に際しては、単に割安だからというのではなく、どうビジネスにつなげるかという戦略が必要です。復星にはそのような戦略がみられます。

Blank卿:イギリスとアメリカは類似点が多いので両国間での企業買収は簡単だとお考えになるかもしれませんが、銀行と小売の事例ではうまくいきませんでした。双方に一定の理解があったとしても、成功が約束されているわけではないのです。不動産、あるいはワイナリーの買収ならば比較的理解しやすいでしょう。しかし、人とそのスキルを買収した場合には、適切な対応が必要です。

Richards:ブランク卿に賛成です。ロールスロイスでは、アメリカ企業の買収時に非常な困難を経験しました。海外進出する際には、現地の市民感情に配慮する必要があります。例えば、アフリカでは中国人労働者は現地人の雇用を略奪したと捉えられ、ファーウェイUKはイギリス人よりも中国人を多く採用しました。このようなケースはトラブルになる可能性があります。これらも学習の一環ではありますが、成功にむけては短期間での問題解決が必要です。

滕:フランスでは、フランス人労働者が残業や、中国人上司との夕食を拒否するという事例もあると聞いていますが、中国では考えられないことです。

Richards:双方の理解が必要です。中国が世界を知り、世界も中国を知る。むろん簡単ではありませんが。

Bouee:現地の環境理解は欠かせません。法律も、極端な放任主義であったり、また逆に非常に厳格であるなど様々です。進出先の人々が肉体的・精神的にどの程度の労働に耐えられるのか、また、彼らのビジネスに対する感覚も把握しなければなりません。歴史を学べば彼らの生活、思考や行動が見えてきます。

Aldington卿:ここまでの議論だけですと海外投資にネガティブな意見と感じられるかもしれませんが、挑戦に異議を唱えているわけではありません。課題と解決策を見つけることが大切です。


この後も議論は続き、ヨーロッパと中国の意識の違い、特に"一生懸命に働く"ことと"働き過ぎ"の差異について、参加者から多くの質問が寄せられた。

参加者:ヨーロッパでは中国企業による企業買収をどのように捉えていますか?

Aldington卿:私の知る限り、イギリスとドイツは中国からの投資を歓迎していると思います。

参加者:ヨーロッパはこれからの5-10年の間、中国に投資を続けるでしょうか?

Blank卿:中国への投資はリスクがないとは言えません。政治をはじめとした問題があります。しかし、私が現在在籍しているTPGの戦略は成功しています。"問題があるから投資しない"のではなく"問題をどう解消すればよいか?"と考えるのが大切です。中国は一部の外国ほど解放されてはいませんが、魅力ある市場であることに変わりはありません。賛否両論をよく検討し、決定すればよいのです。

Bouee:かつて中国市場では誰もが成功できましたが、生き残りは難しくなりつつあります。中国国内のプレイヤーとの競争が激化し、経費も上昇したからです。さらにデジタル分野が非常に進化しているため、それを使いこなせない多国籍企業は窮地に追いやられています。デジタルを理解できなければ市場から退場を迫られることになるでしょう。そのような多国籍企業にとって中国は一、二を争うマーケットのため、より大きな問題となっているのです。


本記事は下記を翻訳・編集しています
http://english.ckgsb.edu.cn/news_content/china%E2%80%99s-re-emergence-through-european-lens-opportunities-and-challenges#.VcgeJPm3Ff0

©長江商学院 2015 無断転載を禁じます。

MBAビデオ
アクセス
お問い合わせ
コラム