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第六回日中経営者ラウンドテーブル

引き算戦略から足し算戦略へ 日中Win-Winの未来

12月1日、第6回「日中経営者ラウンドテーブル」が長江商学院北京キャンパスで成功裏に開催された。同学院初代院長で中国ビジネスとグローバル化教授の項兵博士が「世界経済構造を変える大変革と未来志向の創業と創新」をテーマに講演した。同学院金融論教授の欧陽輝博士、同学院助理院長の周立氏、中日企業リーダーらが一堂に会し、「引き算戦略から足し算戦略へ 日中Win-Winの未来」をテーマに、両国企業に共通の重点問題について突っ込んだ討論を行った。



主要ゲストの発言要旨:
項兵:「和して同ぜず」を称揚し、文化の違いを直視しよう
【長江商学院創業学院長、中国ビジネスとグローバル化教授】


●発展モデルの転換、画期的な技術革新、中国の再度の勃興、中米によるグローバル対局、グローバルガバナンスの理念等が象徴する変革の力が、世界構造を変えつつある。発展モデルは百花斉放の時代に入り、多元的な交流が大きな傾向になっている。過去30年余、中国は改革開放戦略の「被グローバル化」を通じて、最も開放された経済体になった。今後10年、20年あるいは更に長い時間向き合えば、グローバル経済の「被中国化」が必ず大きな流れになる。

●中国は世界人口の19%を占めており、言い換えれば、世界平均レベルに到達するためには世界の国内総生産(GDP)に19%の貢献をしなければならず、米国がGDP第1位であり続けることはない。中国の勃興に伴って、われわれは世界的な問題の解決を通じて、東西双方向交流が実現することを希望している。ルネサンスから今日まで、世界の重大な問題はすべて西洋主導で、中国、日本を含む東洋人は主に追随者に過ぎなかったが、こうした時代は終焉を迎えなければならない。われわれ東洋人は十分な知恵と能力をすでに持っており、世界が直面している重大問題に対して、われわれの解決案を提起することが、新たな復興であり、啓蒙のきっかけかもしれない。

 



中国ビジネスの「新景観」と恊働によるWin-Winの「新機会」

長江商学院金融論教授の欧陽輝博士、日本経済新聞社編集委員の関口和一氏は、それぞれ「新しい趨勢下の中国における新たなビジネスの新景観」「中日の企業協力によるWin-Winのチャンス」というテーマの討論の司会を行い、中日のゲストが各々の中日文化の差異の理解と企業管理実践などの局面における対話と討論を行った。

欧陽輝:現段階ではアメリカではなく日本からいっそう学ぶべき

●日本人の細やかさ、責任感はすべてわれわれが見習うに値するもので、中国と日本を比べると中国はより冒険を好み、これは日本が見習うに値するものである。
中国の現在当面している最も難しい問題はは、「ミドルインカムトラップ」を超えることである。

●われわれは壮大な夢をみて、あえて行動し、猛烈に突き進んで戦い、野蛮な成長を遂げるまでになったが、これらは実はアメリカ的な精神である。現段階の中国が最も学ぶべきなのは日本であり、必ずしもアメリカではない。「ウェスタンスピリッツ」を尊ぶ段階はすでに過ぎ、われわれは個人の素質を高め、日本の技術をコツコツと学び、彼らの職人気質を学び、確実に一歩ずつ階段を登ってゆかねばならない。

 


 

飯山俊康 野村ホールディング株式会社執行役員 アジア地域CEO、ノムラ・アジア・ホールディングスN.V社長兼CEO:
野村證券はまだ資本市場がなかったころの1980年に中国へ初めてアクセスし、千人を超える研修生受け入れなど多くの人材育成のお手伝いをしてきました。現在はいわゆる"グレーターチャイナ"というエリアに2000人を超える職員が在籍しています。昨今、中国企業の海外における存在感はますます強くなり、われわれもまた中国企業のグローバル化をサポートしていきたいと思います。また中国の中間富裕層はますます拡大し、対外投資増加しています。大きなビジネスチャンスが潜んでいるとみています。

 


 

井上弘毅 住友商事株式会社常務執行役員、東アジア総代表、中国住友商事グループCEO、中国日本商会副会長:
中国経済は絶えず成長し、消費者の商品に対する要求もどんどん高くなっているため、日本の技術や考え方が中国企業の啓発になってほしいと思います。例えば日本の品質やルール適合などに対する責任感などです。両国がこの基礎の上で優れた製品を設計、生産すれば、アジア全体の発展が加速することでしょう。

 

 

 


 

劉海濤 株式会社ストリーム代表取締役社長(長江CEOクラス在校生):
日本は世界第三の経済体なのに、数年前まで毎年受け入れている観光客は1000万人に満たず、一昨年は世界で26位に過ぎませんでした。しかし、現在、日本を訪れる観光客数は2000万人に迫る状況です。今後、日本の「開国政策」は日本をはじめアジア経済の発展に大きなチャンスをもたらすでしょう。

 

 

 


 

徳地立人 中信証券株式会社董事総経理、投資銀行委員会主席:
中日間では歴史、文化価値観、生活習慣などの要因で、協力を行うのは簡単だとはいえません。必要となるのは相手の言葉を話せることだけでなく、相手の生活習慣を理解している人材です。両国企業のコミュニケーションルートとなるプラットホームを打ち立てることがさらに重要となってきます。

 

 

 


 

瀬口清之 キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)研究主幹:
中国の経済規模は日本の2.7倍であり、今後ますます日本を凌駕してゆきます。このために、中国がもし「ミドルインカムトラップ」にはまったら、周辺の日韓などの国にも大きな影響を及ぼします。日本企業は中国での市場シェアを伸ばして売上・収益の拡大に努めるとともに、中国への技術移転に積極的にも対応し、中国企業の競争力を維持しなければなりません。

 

 

 


 

張志峰 NE•TIGERブランド創始者(長江卒業生):
われわれは日本企業を研究していますが、千年企業が日本に7社あることはあまり知られていません。日本企業の精神の中でとても堅く守られてきた精神が職人気質です。一つのことを極め、伝承すると同時に革新するということです。

 

 

 

 


 

柳岡広和 三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司董事長(会長)、株式会社三菱東京UFJ銀行常任顧問:
これまでは中国に進出する日系企業の支援が中心でしたが、最近は中国企業の海外進出に伴う支援も行っています。私どもが日系企業の海外進出支援で培ったグローバルネットワーク・ノウハウを中国企業に提供することで、拡大する中国企業による日本を含めた海外でのビジネス展開のお手伝いができると考えています。フィンテックでは、非金融機関がIT技術により金融分野に参入することになりますが、全体のマーケットが広がるという意味で、既存金融機関ともWin-Winの関係を築けると思います。当行もあらゆる分野で検討を進めています。

 


 

唐越小赢理財創業者、芸龍旅行ネット共同創業者、藍山中国資本創業パートナー(長江卒業生):
中国市場の一つの顕著な特徴は、いかなる業界でもみな熾烈な競争が行われていることで、価値競争やエコロジーについて注意を払うことはあまりなく、多くの人を狂わせ、さらに多くの人をおののかせています。

 

 

 

 


 

山田哲ローソン上級執行役員・海外事業本部長:
日中両国間の企業協力における課題であるが、まずは自社内から変えることだと思います。自分の従事している海外事業では当然消費マーケットたる中国に注目し、研究もしている。ところが日本国内ではインバウンドで中国の方が沢山来日しているのに彼らの必要な品揃えも出来ていなければ、非課税で購入する手続きが煩雑で大変お待たせしてします。まずは社内の海外事業従事者と国内事業従事者が話すことから始めるべきです。

 

 


 

杉山龍雄日本通運株式会社執行役員、東アジア地域総括:
私は日本と中国の企業は相手国で業務を展開する以外にも更に手をとりあって第三国に向かうべきであると思っています。中国は第三国に対して強みを持っているので、中央アジアやアフリカなどの地域には多くの分野での協力が期待されています。同時に海外拡張を推進する際は現地に対するリスペクトを重視すべきです。

 

 

 


 

松井俊一三菱商事株式会社常務執行役員、東アジア地域統括中国総代表:
私はあと2、3年、中国は比較的厳しい状況であると予測していますが、その先に対しては明るい見通しを持っています。その理由は、国有企業の改革にもすでに実質的な措置がとられ、都市化などの関連産業の具体的政策も発表されていることです。今後中国の潜在力がさらに大きく発揮されるのではないかと期待しています。

 

 

 


 

関口和一 日本経済新聞社編集員:
日本にはいわゆる「中国通」がおり、彼らは昔の中国理解により自分が中国の専門家であると自称していますが、中国が日進月歩で発展が極めて速いことを軽視しています。彼らの現在の中国に対する理解はとてもちぐはぐで、彼らの観点のために日本の人々は間違った方向に誘導されがちです。日本の比較的封鎖的なモデルは今まさに変わろうとしています。――12月1日はわれわれにとって極めて記念するに値する日で、われわれはイギリスの『フィナンシャル・タイムズ』を買収し、現在まさにグローバリゼーションとデジタライぜーション戦略を定めようとしています。日本経済に根本的な変化が発生した原因は急速な高齢化です。人口がさらに減り続ける日本国内市場だけに留まっていては生き残りが難しく、海外に出て、中国のように巨大な市場に打って出るべきです。

 


 

周立 長江商学院次席学院長:
今年の初め、習近平主席は日中友好交流大会で「中日友好の根っこは民間にある」と語りました。様々な紆余曲折を経てきたものの、われわれは中日両国の長期的な関係は良い方向に発展してゆくものと堅く信じています。またこうした期待を堅持し、長江商学院は2009年に初めて中日CEOフォーラムを開催し、今回まですでに6回行われてきました。


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